No.666と同じ石工の作と見ました。先にも書きましたが,女神の目と眉の彫り
方に共通点を感じます。どちらも簡素ながら,彫りの深いものです。こちらは
石材が柔らかいのか,それとも長く雨風に晒され,風化が進んでいます。簡素
と書きましたが,破風に関して言えば,なかなか細部にまでこだわったもので
す。

男神の冠位束帯姿,なかなか凜々しいものがあります。この頭部の特徴は,平
安の頃一世を風靡し,その後の造仏に影響を与えた”定朝”を思い出します。
なんともふくよかな楕円形をしています。対する女神ですが,N666と重複しま
すが,目と眉に仏師の影響を見て取れます。違いは,男神と肩を並べるくらい
背の高いことです。これは大切な要素だと思います。お顔だけが真っ黒に残っ
ているのも,鑑賞者にじっくりと眺められ,嬉しいことです。

自動車の往来が激しい道路脇,排気ガスによる悪影響を受けなければいいので
すが…。

<水上町平出:http://www.mapion.co.jp/m2/36.81716979591613,139.05429838152236,17>

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